日本の素材、そして古来の知恵をベースに作られた
“新しいスキンケア”を開発、そして世界へ。
実は、食べることもスキンケアの一部なんです!
天王寺・阿倍野の路地をちょっと入った所、そこに少し胃もたれしちゃうくらいの佇まいで私達を待っているカレー屋さんがあります。お店の外観はこれでもか!と言わんばかりに大きな読めない文字の広告が貼られていて(たぶんカンボジア語)、店内はこれでもか!と言わんばかりに狭い。それに、待っていると言っても月曜日だけの条件付きで、出て来るカレーは特殊なものが多く、そのカレーを求めたお客さんで店内は溢れかえるそうだ。何故月曜日しか営業していないかと聞くと、他の曜日はカンボジア料理屋さんとして営業していて、そのお店の定休日を利用して場借りして営業しているという。店主のかっきーさんは友人から誕生日プレゼントにスパイスの詰め合わせを貰ったことがあるくらいカレー好きで知られているそうで、そんなカレー大好き人間が作るカレーには一体どんなこだわりがあるのかと、どんどん知りたくなっていきます。
ドアノブの上の挨拶
10 種類以上のスパイスを調合してルーを作っているだけならよくあるスパイスカレー屋さんと同じ。珍しいのは、おでんのようにそのまま食べても美味しく成り立つ料理を敢えてカレーにアレンジするのが堕天使流。約150 種類の華麗なる変身を遂げたカレーの中から、この日はハモのアラから出汁を取ったカレーと、濃厚豚スープカレーを合いがけで出してくれた。更にカレーのお供のご飯は、ルーを作る際に出る旨みタップリの出汁を使って炊いたかやくごはん。ルーだけでも、かやくごはんだけで食べても美味しいし、一緒に食べても美味しいように“ええ感じ”に構成されている。今まで数々の多国籍料理屋さんで働いて来た経験と知識、そして「カレーと何かを組み合わせたらおもろいやん」という店主の飽くなき遊び心が尽きない限り、新たなる堕天使カレーがこの世に生まれおちてくるだろう。
上:外観 下:手作りで作ったおちょこ
店内は狭く、歩くスペースはほとんどありません。お客さんが入ってくるともう大変。飲み物は入り口すぐの冷蔵庫にあり、自分で自由に取って飲むシステムなのでそこから離れた所に座った人はもう大変。その時は皆でリレーして運びます。それもこのお店の醍醐味といっても良いでしょうか。そうこうしている内に店内はほぼ満席。テトリスのように自分の体や荷物、更には椅子まで動かして店内にスペースを作り新しいピースを入れる隙間を作ります。厨房の中のかっきーさんはやんわりとカレーを作り始める。異国なオーラが漂っているドアを開ける勇気は、カレーを食べたいという気持ちだけじゃなく、店主のかっきーさんの明るく穏やかな人柄と、皆で一緒に笑い合いながらご飯の時間を共有できる空間を求めて“またあのお店にいきたい”と思える衝動かもしれません。メインのカレーが運ばれる頃には、人と人の温かい気持ちがトッピングされて、極上のカレーになっていました。
上 :手書きのドリンクメニュー 下 :色んなフライヤーが貼られた店内
お腹を押すと鳴る呼び鈴
取材・文・写真/川端 彩華