過去の経験と若い感性を生かした
新しい学習塾のスタイル。
生徒たちの将来を見据え人間力も同時に培える場へ。
中学生・高校生を対象にした学習塾『Study Room』を開校し、教室長として新しい切り口を模索しています。私自身、以前は大手教育会社で教室運営に携わっており、受験テクニックをメインで指導していました。しかしながら、就活生の採用面接に携わっているうちに、社会人に必要なスキルは学歴だけでなく、コミュニケーション力などの人間力であることを身を持って感じたんです。そこで、学生時代に過ごした関西に戻り、塾を開校することを決意。学力と人間力の双方を磨ける新スタイルを導入し、月曜日から土曜日は通常カリキュラム、日曜日はゲストを招いての講習会や課外活動を行う場にしました。成績が上がれば進路の選択肢も自ずと増えますので、受験対策はもちろんのこと、日曜日のイベントではそれぞれの個性を磨いて欲しいと願います。
休日イベントのいちばんの狙いは、生徒たちに将来の目標を見つけてもらうことです。中高生にとって、両親や学校の先生、先輩以外の目上の方と話をする機会は、ほとんどと言っていいほどありませんよね。そこで、アナウンサーや企業の社長など、さまざまな分野で活躍される先輩方を招いて講演会を開き、自身の価値観や興味、思考との適合度を測ってほしいと考えたんです。現在、ほとんどの高校で1年生の秋に文理選択が行われています。ここでの選択は、ただ文系か理系かを決めるだけが目的ではありません。自身が将来どんな職業に就きたいか、大学で何を学びたいかを考えて、進路を方向づける分かれ道なんです。高校1年生の時点で将来の選択が要求されるわけですから。生徒たちが道筋を立てやすい環境を早い段階で作るのも、私たち教育者の役割だと痛感しています。
京都に塾を開校したもうひとつの理由が、さまざまな街でカフェ勉強をしている中高生の人数をデータ化した結果、京都市内が最も多いエリアだったからです。一人で勉強するよりも、不明点を質問できる講師が身近にいた方が合理的ですよね。そこで、カフェのような親しみやすい内装に仕上げました。空間を間仕切りせず、オープンスペースにしたのは、生徒がどこに座っても講師の目が行き届くように。生徒のデータはパソコンで一元管理し、作業を効率化させることで、コミュニケーションの時間に比重を置いています。今までの教育現場での経験を踏襲して作られた現在のスタイル。今後も生徒たちの学習のモチベーションが上がるように、さまざまな創意工夫を凝らしてまいります。だって、中高生の頃に磨かれた知識や感性は、社会人になったとき礎となりますから。
取材・文/櫻井 千佳、写真/山下 拓也