作りたいもので、町を元気に。
これが、ポスター展の醍醐味。
全国に広がる「商店街ポスター展」。すべての始まりは、新世界だった。
グリーンチームでは、造園、ガーデンデザイン、設計施工、メンテナンスを基本に、そこから派生するイベント会場、ショップ、オフィスのディスプレイやグリーンコーディネートを行っています。ガーデンデザイナー=造園屋と思われがちですが、建物以外の環境すべてをプロデュース、デザインを担うのが私どもの役割。だから造園屋でも外構工事屋でもなくガーデニングでもない。それらすべてをトータルで考える、環境づくりのプロフェッショナルなのです。大切にしているのは、気候や場所に合った植物を選ぶこと。生け花や構造物のデザインは美的センスが最優先ですが、ガーデンデザインは植物そのものの性質を理解し、そこに+αの要素としてデザインが加わります。だってせっかく植物を植えても、環境が合わずに枯らしてしまっては台無しだと思いませんか? 適した場所に植えると植物はイキイキするし、植物に負荷がなく、私たちも長期に渡って美しい状態を楽しめます。植物と人は一心同体と言っても過言はないですね。
もともと広告代理店で働いていたんです。その頃から自営業に憧れており、さまざまな業種のクライアントに業界の話を聞きながら、自身のやりたいことを探していました。その後、公認会計士の資格をとるために、代理店を退職して専門学校へ。この頃はやりたいこが見つからず、12、3年ほどくすぶっていましたね(笑)。
そんな折にイギリスに旅行する機会があり、ロンドンのハイドパークへ出向いたとき「とにかく気持ちいい!」という印象を受けたんです。ハイドパークは都会のど真ん中にあって、大阪で例えると阪急梅田駅とJR大阪駅の中央にグリーンが広がっているイメージ。ハイドパークのような美しい風景が日本の都心にもあれば、忙しさに追われる日本人たちも心癒されるのではないかと考えたんです。帰国後、イギリスでの体験を会う人会う人に言ってまわりました。「馬鹿じゃないの?」という声もありましたが、その中で「かっこいい」と言ってくれる方もいて、自信につながりました。その後、各界の専門家が集まる交流会「大阪市立大学 クリエイティブ・サロン」に参加。参加者の方からの後押しもあって、グリーンチームとして第一歩を踏み出しました。
新阿波座公園のふれあい花壇
現在、人が集まる場所に心地いい環境をつくろうと、さまざまな取り組みを実践しています。新阿波座公園での環境整備活動も、御堂筋の彫刻まわりのプランターのデザインもそう。すぐに美しい状態であることはもちろんですが、5年後、10年後を見越して考えたときに美しいデザイン、環境であることにも重きをおいています。とは言えど、今のエクステリア業界は、人が何人動いたか、植物のコストはいくらかなど、目に見えるものしかフィーが発生しないのが現状。きれいを持続するまでのメンテナンスまで行き届かず、短期的な美しさを求められるのも、そういった理由があるからなのかもしれません。
植物は手間をかければかけるほど美しいものです。だからこそ、私は造園屋や外構工事屋、フラワーコーディネーターなど同業者の方たちとタッグを組み、付加価値を提案していけたらと考えています。そのためにはまず、新阿波座公園や御堂筋の美しさを持続すること。そしてよき理解者をつくること。カタチないものに価値をつける、そんな広告業界の発想をエクステリア業界に導入し、グリーンのある生活をもっと楽しんでもらいたいですね。
御堂筋の彫刻まわりのプランター
植えるだけでなく、メンテナンスを行うのもモットー。
取材・文/櫻井 千佳、写真/山下 拓也、一部㈱グリーンチーム提供