ジュース屋さんは朝が早い
きったり、むいたり、しぼったり
個性をピリッと利かせたお店が立ち並ぶ中崎町において、寒い朝のホットミルクのようにほっこりする場所がある。しかしそこは簡単にはたどり着けない秘密の部屋。入り口はわかりにくく、万が一見つけてもその扉を開くまでがちょっとした冒険。しかしそれをクリアすると、ひだまりの猫よろしくのまどろみ空間が待っている。 自らの子供のようにサボテンや多肉植物たちに愛情を注ぐcocohimaさんが母親業の傍ら店番をし、気取らず・無理せず、でもどこかにこだわりをもったHITSUJI-DOさんが不定期で美味しい料理やお菓子を提供。二人の女性がそれぞれ「好きなもの」のために作ったこの場所は、さまざまな人がやってきてマーケットやスイーツ、ごはんのイベントを開催するマイペースなスタイル。「超」不定休と自ら言うように、開いていないこともあるので、もしこの部屋の明かりが見えたなら勇気を持ってドアノブに手をかけてほしい。
猫のしっぽのように、撫でたくなっちゃう白楽翁。触ると棘が…
cocohimaさんは自ら農家や趣味家に出向いて珍しいサボテンなどを直接仕入れている。育て方のポイントは「雨ざらしが意外と合っている。大事大事にしすぎないこと。あと、元気がない子も話しかけてたら復活してくれる。」とのこと。人間関係と似ているかもしれない。
HITSUJI-DOさんは、「こだわりは全くないですよ〜」とゆるーい雰囲気ながら、中津発酵部という部活に所属しているだけあって、無農薬の食材を使ったり、意外な組み合わせの美味しい料理とお菓子を多方面で出店している。相方曰く「良い意味で裏切られる」味である。
全く畑の違う二人だが、共通しているのはゆったりとした空気感。それがそのままこの場を作っているのかもしれない。
上:エイリアンからお尻まで…個性派ぞろい
下:この日はスコーンとケーキを販売してました
全くタイプの違う二人だが、酒屋さんの日本酒イベント・雑貨屋さんと一緒にマーケット・写真展…など更に違う分野も取り込み共にイベントも開催してきた。さらにこれからは貸しスペースとしても充実させ、ヨガレッスンが始まったり、作家さんの販売スペースを設置したり、ますますその使い道は多岐に渡りそうだ。
この場を持つようになって1番に感じるのは「いろんな方面の人に出会って刺激をもらえることが何より楽しい。」—それは、彼女達だけじゃなく訪れる人にも言えること。今まで知らなかった世界が、秘密の扉を開けば待っているかもしれない。
運がよければ可愛いサボテンたちに囲まれながら、美味しいご飯がいただける。
ヒントはこの扉。一階は、実は別のレストラン。
取材・文・写真/後藤 真悠子