個人の風呂場から大きなスケールへ。広がる、アートプロジェクト。

  • 2016.03.22
権田直博

自宅の風呂から富士山が眺められる。そんな壮大なスケールをカタチに。

『風呂ンティア』という名で、個人宅の風呂に絵を描くアートプロジェクトを行っています。家は人生においていちばん大きな買い物。しかも風呂は一日の疲れをとるオアシスでもあるので、依頼主と風呂の関係を観察しながら世界観をつくり上げるように心がけています。
私が風呂ンティアの活動を始めたのは、2011年の正月のこと。知り合いのカメラマンさんと「お風呂に絵を描いたらおもしろそう」と話していて、その人の家の風呂場に描かせてもらったのが始まりです。そのときに描いたのは雄大な富士山に、松、日の丸。このときは銭湯画のルールを無視して、とにかくひと目で日本と分かるものを描きました。その後、別の知り合いが依頼してくれたり、自分から打診したりして、口コミで広がっていきました。
このとき使う画材は水性ペンキ。筆を使って絵を描くのは初めてでしたが、グラデーションでこれだけ世界観が広がるのだと自分でも驚いています!

水性ペンキペンキを混ぜる様子

水性ペンキ4色を混ぜて絶妙な色をつくりだす

依頼主とコミュニケーションをとり、一人ひとりに沿ったストーリーを描く。

絵が完成するまで最低2、3日はかかるので、依頼主の家にホームステイして朝から晩まで描き続けます。もちろん、この期間は依頼主やそのご家族と寝食も一緒。絵を描いている間は風呂を使うことができないので、一緒に銭湯に行って裸の付き合いをしています。これを繰り返すうちに依頼主との仲はどんどん深まり、ビジョンも明確になっていくんですよね。それを私が描きたいものや、風呂の構造などとすり合わせながらカタチにして行きます。
例えば、ハワイが好きなご婦人にはダイヤモンドヘッドと、那須のサーフボードに乗った人を。三重県にお住まいの方には夫婦岩と長生きして欲しいという想いを込めて海亀を…というように、お一人おひとりの絵にはまったく異なるストーリーが込められています。ただ、富士山が登場するのは絶対。よりリアルに描くため、2012年の冬に富士山を360度眺める旅に出たくらいです(笑)。

作品 富士山×夫婦岩×海亀

富士山×夫婦岩×海亀

異業種とのコラボレーションで、スケールは広がりつつある。

現在、建築家の吉永規夫氏、大工の長岩正一氏とともに 「N.P.O.」というユニット名でコラボレーション作品を制作しています。コンセプトは“記憶と、記録と、家屋に残る製作集団”!吉永さんが設計、長岩さんが施工、僕が絵画というそれぞれの得意分野を生かすことで、作品により価値が生まれたらいいと願っています。
特に記憶に残っているのは鹿児島で二段風呂を作り、そこに桜島や種子島の打ち上げロケットなど鹿児島になじみのあるものを描ききった作品。展示を終えたあとは、作品をお焚き上げしました。やはり土台を築いてくれる二人がいることで、作品の可能性はどんどん広がっていると思います。近々のビジョンは住まいをベースからつくること。風呂に関してはブラックタイルにゴールドの富士山を描いて、縁起のいいものに仕上げたいですね。そして、この三人なら成し遂げられると自負しています。

二段風呂

吹上ワンダーマッププロジェクト鹿児島での二段風呂

権田 直博権田 直博

 

 
権田 直博

ごんだ なおひろ
権田 直博

  • 画家として活動後、個人宅の風呂に絵を描く『風呂ンティア』をスタート。イベントにも積極的に参加する。
2011年1月
『風呂ンティア』の活動をスタート。
2011年12月
宮城県石巻市 つるの湯祭りに参加。
2012年11月
見っけ!このはなに参加。
2013年9月
rooms27 Lamp harajuku扉の向こう側に参加。
2014年2月
吹上ワンダーマッププロジェクト 鹿児島に参加。
2014年3月
HUB-IBARAGI ART COMPETITIONに参加。
2015年4月
ももも展 東京ミッドタウン・デザインハブに参加。
WebSite
http://frontier-spiritus.blogspot.jp/

ピカスペースにて常時作品展示中

取材・文/櫻井 千佳、写真/山下 拓也(一部 風呂ンティア提供)、場所提供/ヨシナガヤ



post image

おもしろい人、ものが集まって
コラボレーションする。
それがアートの新しいカタチ。

東日本大震災を機に価値観が変わった。

ダレソレ
post image

レコード曲げ屋

あふれるモノの中で生み出された、新しいジャンル。

ナニアレ
post image

大阪生まれ、大阪育ちのナニワ人情で
新世界に来る人たちを魅了したい!

ディープな大阪を案内したいこれが、俥夫としてのミッション

ダレソレ
post image

通天閣の魅力は高さじゃなく、面白さ。
エンターテイメント性で天を突けたら…。

生活の中にあった通天閣。思い出は日立のモートル!

ダレソレ
post image

紙の音を聴きながら。

紙のたのしさをつたえる

ナニアレ
post image

はじまりは、そのひとふで

筆を選ぶは人生を選ぶ

ナニアレ
post image

日々お茶について探求し、たどり着いたのは
“お茶のあるライフスタイル”だった。

ブレンドによる奥行きのある味わいが、つぼ市らしさです。

ダレソレ
post image

個人の風呂場から大きなスケールへ。広がる、アートプロジェクト。

自宅の風呂から富士山が眺められる。そんな壮大なスケールをカタチに。

ダレソレ
post image

仏像ブームをご存知ですか?

仏像とお茶ができるカフェ?

ナニアレ
post image

書道=習字ではなく、もっと可能性のあるもの。
字に魂を込めて、作品にする楽しさ・難しさ。

書道の概念をくつがえすべく書家としての活動をスタート。

ダレソレ
post image

15色の世界

フェルトたちの話し声に耳を傾けたら…

ナニアレ
post image

シンプルだけど、奥深くて、難しい。
それが、ライブパフォーマンス。

アートをもっと身近に。そんな思いでライブパフォーマンスをスタート。

ダレソレ
post image

印刷するのは“可能性” ― 無限空間でうまれるもの

あるべき姿をとっぱらってみちゃった印刷屋さん

ナニアレ
post image

新しいことをしたい。人をビックリさせたい。
それが、私の仕事・アーティスト活動のすべて。

斬新な切り口であれば単純なこともおもしろい!

ダレソレ
post image

思いつきで始めたウエディグフォトの旅。
人の心を感動させている事実に驚き!

たまたま観たテレビ番組が二人の人生の分かれ道に。

ダレソレ
post image

ちょんまげ姿で日本を行脚。
笑顔を届けることがミッション!

日本各地に笑顔を与えながら目指すは実家のある長崎県。

ダレソレ
post image

大阪から世界へ。
アクティビティで日本の魅力を伝えるプロジェクトが話題。

大阪を元気にするには、チャンバラ! この思いつきがイベントの始まり。

ダレソレ
post image

「商売繁盛で、笹持ってこい」

えべっさん

ココドコ
post image

親愛なるスコッチへ

スコティッシュデイin京都

ナニアレ