おもしろい人、ものが集まって
コラボレーションする。
それがアートの新しいカタチ。
東日本大震災を機に価値観が変わった。
先日行われた「日本中がマチオモイ2015大阪展」は、日本全国のさまざまなジャンルのクリエイター達が、ふるさとや思い出の町、大切な町の魅力を各々の視点から冊子や映像で伝える展覧会です。1町1クリエイター責任編集を基本にミニブック部門またはムービー部門で作品を作成します。1冊から始まった「マチオモイ帖」は、クリエイターが社会に対してできることの問いかけとして「ソーシャル・プロポーズ展」に出展され、34組の「マチオモイ帖」が生まれました。その後「my home town わたしのマチオモイ帖」として、東京ミッドタウン・デザインハブでも大成功をおさめ、2013年の「日本中がマチオモイの春」では、札幌から那覇まで日本全国13会場で開催されて日本全国が街を想う気持ちで繋がりました。そして2015年の今回は約1000帖にまで増え、年々繋がりが大きくなってきています。
大阪コーナー
「マチオモイ帖」は題名が全て「○○帖」となっており、「○○」には町名が入ります。
2011年の震災をきっかけに、一人の女性がふるさとを想う気持ちから始まりました。因島が故郷の彼女は震災で東北が大変な中、自分が今できることを考え行動し始めました。海に囲まれた彼女の故郷も波の恐さは他人事ではなく、島に対する恩返しをしたい気持ちから生まれたのが第1冊目「しげい帖」でした。まるで交換日記のような「しげい帖」で島の人たちの間にコミュニケーションが生まれるのを見て、ふるさとが過去の町でなく、今を生きている町であることを実感したそうです。
上:会場内「マチオモイラジオ」 下:「メビック扇町」会場
クリエイターそれぞれの個人的な想いが詰まった「マチオモイ帖」は、たとえ同じ町が舞台であっても作り手によってまったく別の視点で描かれており、それぞれの目線で切り取られた想いが面白くてついつい自分の住む町を探してしまいます。たった1冊の本から始まったマチオモイ帖ですが、「まちを大切に想う」という根底にあるコンセプトが重なったことから、ゆうちょ銀行のカレンダーへの採用や地下鉄御堂筋線を走るマチオモイ列車など、各方面とのコラボも実現してきました。今後はクリエイターが地域住民などと協力して「クリエイターと作る」マチオモイも発展させていきたいそうです。点だった想いは繋がり、そして日本各地に温かさの連鎖を生む。町に眠る無数の価値や人との繋がりが少しずつ世界を動かしていくのかもしれません。
「東京ミッドタウン・デザインハブ」会場
文・写真/ハイカラ不動産(一部 わたしのマチオモイ帖制作委員会 提供)