おもしろい人、ものが集まって
コラボレーションする。
それがアートの新しいカタチ。
東日本大震災を機に価値観が変わった。
香港、ハワイ、ペルー、ボリビア、チリ、アルゼンチン、フロリダ、フィリピン、日本。世界各国の絶景を巡りながら、ウエディングフォトを撮影しています。きっかけは彼女が大学3 年生だった2 年前のこと。私の会社で彼女をカメラマンとして採用し、晴れて自由の身になったときに、余暇を利用して海外旅行をする話になりました。好きな場所で好きな人といれればいい。それが私の考えだったので、彼女が前から行きたいと言っていたウユニ塩湖に行くことを決めました。さらに、1 月には渡航費のリーズナブルな香港にも渡航することに。そんな感じで旅の計画は順調に進行したんです。ウエディングドレスを着用しようと考えたのは、香港へ飛び立つ3 日前。芸能人がイタリアの絶景でウエディングフォトを撮影する番組を観て、感化されたのが理由でした。彼女の大学の近くにある古着屋にウエディングドレスが販売されていることを思い出したので、翌日に買いに走りましたね( 笑)。
上:セルフタイマー撮影 下:秋田 男鹿半島
写真撮影の際は、場所もポーズもいつもアドリブ。基本的にはデジカメのセルフタイマー設定を駆使して撮影しています。撮影した写真はフェイスブックでアップ。そんなことを繰り返しているうちに、ひとつの記事に対して1000 件以上の「いいね」がつくようになり、友人、そのまた友人へと一気に拡散されました。現地をウエディング姿で出歩いていると、現地の方たちが温かな声をかけてくださりました。ハワイではすれ違う人ほぼ全員が祝福してくださり、チリの小さな村では情報が村中に広がり、現地の人たちに記念撮影をお願いされるほどでした。ウエディング姿で海外旅行というと、贅沢だと思われるかもしれませんが、滞在費はなんと一日500 円程度。ドレスも1 万円以内で購入したものを着用しているので、セレブなウエディングとは程遠い世界でした。もちろん、費やした金額以上の貴重な経験にはなりましたが。
大阪 新世界
近年、高いから挙式を上げない。決まりきったシチュエーション、ポージングに意欲をなくし、記念写真を残さないという若いカップルが増えている気がします。しかし、切り口を変えてみればそんなことはないんです。私たちは、ウエディングの既成概念を払拭してもらうため、全国各地で写真展を行っています。写真展にはウエディング業界の方たちが来訪し、ねぎらいの言葉をかけてくださることもあります。大切なのは、フロンティア精神と少しのアイデア。例えば大阪の御堂筋でも、赤信号のときに道の真ん中でポーズを決まれば、いつもとは異なる雰囲気を醸し出せます。帰国後は、ウエディングの撮影モデルをしたり、妻宛てにウエディングフォトの依頼があったりと、仕事の幅が広がっています。自分のやりたかったことが、多くの人の心を動かせることに驚くと同時に、自分に正直に生き続けることが大切なことを再確認できる旅になりました。
沖縄 竹富島
上:ボリビア ウユニ塩湖 下:ペルー オアシスワカチナ
取材・文/櫻井 千佳、写真/バックパックウェディング