ジュース屋さんは朝が早い
きったり、むいたり、しぼったり
大阪、新町にある「THE JUICE BAR」は、コールドプレスジュースが飲めるジュース屋さん。グレーな色の街にひょこっと出てくるレンガの壁。緑色のシェードが差し色みたいで、どこか外国に来たみたいな錯角を起こしそうになる。どっしりとした木枠のドアをあけるとなんとも言えないフレッシュな香り。その香りに包まれながら、取材を始めると、常連さんがMYボトル片手に次々と、シュッと飲んで、仕事へ向かう。とってもいい風景だ。コールドプレスジュースとは、材料に熱を加えずにしぼったジュースのこと。低速回転の専用ジューサーを使い、強い圧力をかけてしぼり出すことで酵素や栄養は壊れず、繊維質が無くなったさらさらのジュースになり体への吸収が良い。市場から仕入れたフレッシュな野菜やくだものを、特別なジューサーでぎゅぎゅぎゅーーっとプレスする。すると、みずみずしさを残したままのジュースがすこーしずつしぼり出される。この、すこーしずつしかできない作業、なんと!早朝3時から開店の10時までかかっているのだった。
メルボルンのデザイナーがすべて作ってくれたジュースチケットとMENU!
お店の外、中、なぜか感じる異国感。欧米のジューススタンドを思わせるこの雰囲気。その答は、「THE JUICE BAR」のお店のロゴも、ウェブサイトも、メニューまでも、このすべてをデザインしたのがメルボルンのグラフィックデザイナーだからなのかもしれない。台風のある日、偶然が重なり初対面にも関わらず、関空まで送ってあげることになった店主。その後、お店を始めるとき、彼のことを思い出し、すべてのデザインをお願いした。いつかメルボルンでお店を出してくれることと引き換えに、すべて無償で引き受けてくれているそうだ。ちなみに、おたがいの言語は理解していないそう・・・。メールのやりとりだけでここまでの仕上がりになるものなのか。2人のつながりの深さは、時間ではないようだ。
上:レンガに緑色がとっても映えている素敵な外観。
下:Norwalkのジューサーと、下ごしらえ中の大盛りニンジン。
日本にあるジューススタンドといえば、デパ地下や駅にあるジュース屋さん。最近はスロージュース、コールドプレスといったものが海外から入ってきているが、気軽にいつでもどこでも飲めるわけではない。ここで使っているNorwalkというコールドプレスジューサーのメーカーはアメリカ。日本よりはるかにジュースの消費量が多いアメリカには、ジューススタンドは当たり前のようにそこらじゅうにあり、庶民的なもの。そんなジュースの格を下げて、コンビニ感覚で立ち寄れるジュースタンドを日本にも広めたいと願う店主。人工的に作られた栄養ドリンクじゃなく、自然が作る栄養ドリンクをたくさんのひとに飲んでもらいたい。そんなお店のキャッチコピー「100歳まで 美しく 健康に」は非現実的ではない、ありうる現実の数字を掲げた店主の思いがこもっている。
フレッシュフルーツの香りに包まれながら、ここで一杯!
上:ロゴ入りのボトルは地球にやさしい。
下:できたてのミックスジュース!おいしかった!
コールドプレスジュース 230ml 500円、コールドプレス11回チケット 5000円、にんじん100%ジュース 230ml 300円
取材・文・写真/荒川純子