ジュース屋さんは朝が早い
きったり、むいたり、しぼったり
ある日突然アメリカ村の端っこに新しいコーヒースタンドが誕生した。こうばしいコーヒーの香り、楽しそうな笑い声が小さく狭いお店にはおさまりきらず、外まで広がっている。西海岸風のコーヒースタンドをモデルとした内装は気軽に寄れて色んな人と話せる空間を演出している。それにカウンターに天井近くまでそびえたつウォータードリッパーや、むきだしの蛍光灯や黒板などは、いわばコーヒーの研究室といったところだろうか。元々同じビルの3階にある美容院で出していたコーヒーが、いつしか、そのコーヒーだけを飲みに来る人が沢山訪れるようになったことがキッカケで出店することになったそう。やるからには本格的に運営したいと考え、オーナーの学生時代からの友人「自称コーヒーマニア」の現店長を誘い開店する運びとなった。その店長は何かと「責任」とおっしゃる事が多い。人当たりが良く、明るい店長からはあまり想像していなかった堅苦しい言葉だ。そしてその責任とはお話を進めることにより、こだわりや愛情がいっぱい詰まったものだと知る事になる。
カウンター
たとえばアイスラテ。エスプレッソはLiLoオリジナルブレンドを作り、全体のバランス(酸味・甘み)を考え、更にミルクに合うようにした。ミルク自体にもこだわりを持ち、何十種類も試飲した中で、これだ!というものを選び抜き、一番良い状態のアイスラテを提供してくれる。さらにコーヒー豆は自ら焙煎する。
自分達で1から作り上げることでより良い味を突き詰め提供できるようになり、それにお客様の意見などで改善していくこともできる。そんなおいしいことへのただならぬ責任がひとつめ。ふたつめは本当のコーヒーの味を伝えたいという責任。コーヒーは苦味や渋味、反対に爽やかさや甘味といった、色んな顔がある飲み物だということを皆に知ってほしいとのこと。
上:外観 下:店内
「コーヒーが嫌いな方がお店に来て、ウチをキッカケにコーヒーが好きになりよく来てくれるようになったのには、本当に嬉しかったですね」と語る店長の表情は優しい笑顔で満ちていた。ビーチのそばにあるようなゆるーい雰囲気が、なんとも言えない心地良さへ導いてくれるLiLo COFFEE ROASTERS。こだわりのコーヒーを気軽にたくさんの方に楽しんでもらいたい。そして新たなコーヒーの味の出会いと人との出会いが繋がれば、もしかするとそれはこのお店がずっとここにあり続けないといけない理由になるのかもしれない。
最後の責任は辞めないこと。かもしれません。その他コーヒー以外にもチャイやデカフェ(カフェイン99%カットのコーヒー)、ビール、オリジナルクッキーなども売っています。
上:アイスラテ 下:コーヒー豆の味の味覚表
ウォータードリッパー
取材・文・写真/川端 彩華